tOmozoは頑張って構築した
僕はボイトレやレッスンにおいて、発声や表現をコントロールする解決アプローチとして「歌声成分5つ」なるものを構築して運用しています。それが何なのか、この記事から順に説明していきたいと思います。(理論派向けの記述です)
歌声成分5つとは?
「歌声成分」とは「声の響き」そのものですが、そのブレンドする割合によって歌声のサウンドの変化だけでなく、発声バランスへの影響まで変わる側面も盛り込んでいるため、発声実験のニュアンスを感じられるように「成分」と命名しました。
以下に5つの成分の概要を並べてみました。細かい作り方までは書いていません。
吐息
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・実際に口や鼻から漏らす息の成分。
・多くすれば「ウィスパーボイス」に。
・“サラッと”した質感。
・裏声の材料。
・呼気圧の条件は“多く”。
・“ダダ漏れ”にさせないための工夫が課題になり、その解決策のひとつは「倍音」や「エッジ」で、それに暗に含まれるのが声道や仮声帯の狭小。
・地声の加圧剤となる「呼気圧」とは役割が異なるが、シームレスな関係にある。
共鳴
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・いわゆる“深い響き”や“ノドが開いた声”の状態で生まれる響き。
・裏声で充満できれば「ヘッドボイス」に。
・“トゥルッと”や“ウェット”な質感を持つ。
・裏声の材料。
・息の条件は“遅く”。
・豊かな共鳴を得るほど換声点の処理が難しくなり、声区分離を招く。
・その解決策のひとつは「ソフトミックスボイス」で、その内訳が「吐息」や「鼻音」の加味。
・鳴きマネは犬の遠吠え。
鼻音
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・いわゆる“鼻にかかった/鼻にかける”音。
・英語圏では「ネイザル」と呼ぶ。
・“モニョっと”や“ネチッと”、“マット”な質感。
・裏声・地声の両材料のハブとなる存在。息の条件は“中間”。
・日本語が持つ舌の位置や、滑舌の良さとのジレンマに対する工夫が課題になるが、発声に対して重篤な症状を招くことはない。
・日本語話者にとっては特に「ミックスボイス」の核となる存在。
倍音
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・いわゆる“明るい響き”や“鋭い声”を作る。
・地声で「チェストボイス」らしい音になるが、倍音豊かな裏声がミックスボイスになるわけではない。
・“キラッと”した質感を持つ。
・地声の材料。息の条件は“速く”。
・豊かな共鳴が招く声区分離に対する、換声点の処理方法の1つにもなる。
・リスクは「過剰閉鎖」。その解決策のひとつは「吐息」と「呼気圧」による閉鎖の中和と最適化。
・鳴きマネはミンミンゼミ。
エッジ
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・積極的に用いるノイズ発声。
・「エッジボイス」はもちろん「ラスピーボイス」の土台となるサウンドや身体感覚。
・“ジジッと”や“ザラッと”した質感を持つ。
・地声を「過剰閉鎖」にしないで正しく作る材料。
・まずは発声準備として身体感覚として置き、お好みでサウンドとして脚色する。
・コツは「嚥下のフリ」や「吸気発声」、「仮声帯の狭小」
・リスクは裏声感を忘れやすくさせてしまうこと。その解決策は「吐息」「共鳴」「鼻音」。
これら5つの成分自体は、当然ながら僕が発見したものではありません。もともとあったものを、『コレとコレを混ぜたら発声はこう傾くよ、○○の反対の成分が△△だよ、□□を増やしたら◇◇は減る/増えるよ、この症状が出たら✕✕を足してね』という関係性を見つけ、位置づけをし、紐づけをし、言語化し、視覚化し、構造化し、体系化をしたまでです。
歌声は“見えない”もの
歌は誰しもが身体1つで取り組みやすい反面、“見えない”部分が多くて扱いづらさも共存する分野です。音自体は当然肉眼では見ることはできないし、発声に関わるコアな筋肉も目視では見えない部分にあります。歌声はそもそも、多くの人にとって掴みづらく、コントロールが難しく感じる構造を持っています。(ピアノは鍵盤を目で見れる分、この点においては操作がしやすい分野ですね。)
なのでこと歌唱においては、“声の見える化”ができるかどうかが重要で、それができるかできないかが運命の分かれ道…と言っても過言ではありません。それを叶えるのが僕のレッスンスタイルです。
声を“見える化”する
「歌声成分5つ」、その響きのイメージや作り方の情報を、実際に“見える化/視覚化”したイラストがコレ(ら)です。

「歌声成分5つ」に含まれる情報
●声を身体のどの部分にどういう質感で感じるのか(音声感覚・身体感覚)
●声を空間のどの方向にどういう動きで感じるのか(空間認識・身体感覚)
●その色彩感覚や連想できるイメージはどんなものか(抽象的な感覚情報)
●筋肉や部位の身体動作はどうなるのかとその拮抗関係(具体的な操作情報)
●声区(○○ボイス)など、発声用語でのラベリング(構造的な対応関係)
●それぞれの成分が発声にどういう影響を及ぼすのか(構造的な因果関係)
●その発声症状にはどの成分でバランスを取れば良いのか(構造的な対応関係)
こういった情報を整理したのがこのアプローチです。音を視覚化しただけでなく、発声バランスの関係性も構造を見つけて体系化してあります。これを掴むだけで、ありとあらゆる発声の80%はコントロールできるようになるし、「歌声成分」とは「声の響き」そのものなので、好きな音色を自由に選択して歌えるようになります。
理論派が陥りやすいワナ
そもそも論なんですが、発声をコントロールするために、何を“いじる”べきだと思いますか?
筋肉の名称を覚えて操作しようとしたり、音響学的な側面(Hzのコントロールなど)に注視したボイトレは、かなり具体的でかなり論理的に見えますよね。これらの知見は持って置くに越したことはないんですが、実はこういったアプローチはボイトレをやる上で“一番遠回りで的外れ”になりやすいです。
その理由は、『歌という分野がそもそも感覚的で抽象的な構造を持っているから』、そして『聴き手はアウトプットされる“音”を楽しんでいるのであって、歌い手の筋肉や身体的都合は知ったこっちゃないから』です。
理由はほかにもまだまだあります。この理由については“かなり具体的に、かなり論理的に”、以下の記事で解説します。
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なので、メインに据えて“いじる”するべきは、聴き手が直接触れることとなる「響き/サウンド」にするべきということです。それから、この話は以下に続く部分と大きく関わってきます。
歌声成分と個人の気質が持つトリック
この「歌声成分5つ」の情報にはたくさんの感覚、抽象化されたイメージ、筋肉の具体操作、構造化された発声理論、が含まれています(含ませてあります)。なので、個人の興味や特性に合わせてどの切り口から入っても、最後は発声をコントロールできるようにトリックを仕組んであります。
この仕組みと個人の特性の関係性について、次の記事で解説しました。
今回は以上です:)





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