声に関する症状 1-1 気質的疾患
扁桃へんとう炎・咽頭いんとう炎・喉頭こうとう炎・声帯せいたい炎
風邪をひいた時の腫れとして良く聞かれるのがこれらの症状です。発症する部位によって名前が変わるだけだと思っていて問題ないです。
風邪をひいた時に「喉が腫れる」と言いますが、『喉/のど』と言っても各部位によって位置は様々です。ボイトレの時にもこの「喉」の各パーツの位置と役割が分かっている必要がありますので、風邪をひいた時にでも是非把握するように努めてください。
風邪をひいた時に口を開いてすぐ確認できるのは「扁桃腺」であり、これは「口蓋垂/のどちんこ」の両側に広がっている部分です。「咽頭」は一番広い範囲を指す言葉で、のどちんこがくっ付いている「軟口蓋」から軟骨でできているパーツの「喉頭/のどぼとけ」の下部までを意味します。その「喉頭」の内側で「声帯」が守られている形となり、音声はここから発せられます。風邪での診断名は炎症がどこで起こっているかを示していて、他にも喉頭上部で飲食物を食道に流し込む役割を持つ「喉頭蓋」が腫れれば「喉頭蓋炎」となります。炎症箇所が声帯に近ければ近いほど、咳や痰が出たりと発声に直接的な影響を及ぼすことになります。風邪の状態で発声を続けてもいいことは無いので軽症のうちに病院で治しましょう。

声帯結節けっせつ・声帯ポリープ・ポリープ様声帯ようせいたい
このよく聞く3つの症状について比較表にまとめました。これらは「7発声障害」に含まれる部分です。
| 症状 | 声帯結節 | 声帯ポリープ | ポリープ様声帯 |
|---|---|---|---|
| 形状 | 声帯の両側に硬くなった小さいタコのようなもの | 声帯の片側に腫れあがった大きめのコブのようなもの | 声帯の一部でなく全体が腫れて水ぶくれのような状態 |
| 詳細 | 表皮細胞が硬く肥厚したもの | 血腫による筋肉組織の盛り上がり | 粘膜表面でなく粘膜深部の腫れ |
| 症状 | 声のかすれ、長時間発声での出しづらさ | イガイガ・声のかすれ・発声の途切れ | 声はダミ声、音域は低く、重度だと呼吸に難 |
| 原因 | 大声や無理のある発声で繰り返される酷使 | 風邪や喫煙で声帯に炎症がある状態での酷使 | 頻繁で過度な喫煙・飲酒による声帯の炎症 |
| 傾向 | 女性や男児に多い | 大声発声の職業・喫煙者 | ヘビースモーカーや飲み屋さん勤務 |
どれについても軽症ならば静養による自然治癒で快方に向かいますが、急性でも重度な場合や慢性的に症状が続く場合は手術が必要となる場合がありますので、早めに受診しましょう。
ただしポリープ様声帯については、歌唱時の音色作りのためにあえて狙ってこの状態にする人もいます。これについては「4、喫煙・飲酒と発声」にて説明します。
声帯溝症みぞしょう・声帯萎縮いしゅく症
主に加齢によって声帯の筋肉などがやせ細ることで、声がかすれたりする症状です。声帯はいわば「ピタッと閉じること=しっかりした声門閉鎖」により力強い声が出せます。声帯が閉じる時に隙間があれば、息が多く通り抜けることになりますから、息漏れ発声になったり声がかすれたりします。
やせ細ってしまった声帯を直ぐに回復させるには、ヒアルロン酸の注射をしたりするようですが、そもそもの予防として「歌を歌うこと」が大きなリハビリ作業になるようです。そういう意味では、どうのようにでも「歌って・声を出して」いればさえ、この症状のように声帯がやせ細ることはないかもしれません。
ただ、この時に発声に適切な筋肉を使うことが重要です。この先ボイトレの観点で言及するならば、「声帯の筋肉を…」という意識では「喉声」になる可能性があります。「発声は声帯周辺の筋肉で制御するのではなく『口蓋筋』で制御する」これが重要です。実はこれはボイトレ界ではまだ発見・浸透・解説されていない知識なのですが、この教室の生徒さんの多くがボーカルコース受講という状況は、僕が口蓋筋に秘訣があることを見つけた結果と言っても過言ではありません。



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