郷に入っては郷に従え
クラシック畑の音大生やクラシック出身で、音楽の仕事をしていきたい人はまぁたくさんいると思います。
でも実際、クラシック音楽は「芸術」であって、日本ではそもそも商業的に成り立つ仕事が少ない、のが現状です。(韓国では音大生がポップスの現場に入っていく前提の環境みたいですね。)
すると選択肢としてポピュラー音楽の演奏に可能性がでてきます。でも限られた人にしかできない。なんで音楽を専門に勉強したのに仕事に就けないのか、いくつか理由をあげてみましょう。そもそも、クラシックとポピュラー音楽の違いはどこにあるでしょうか?以下の記事で「楽曲の構造」「成り立ち・環境」にフォーカスを当てて解説していますのでご覧ください。
逆に『クラシックの現場でポップス奏者が話にならない』のも、当然ながら確実に起こることです。それはまた次の機会に。クラシックの音大生でポップスのフィールドでも仕事をしていきたい人は参考にしてみてさい。今回は「演奏」にフォーカスを当てています。
6つの理由
以下は音楽が「仕事」として成立しやすい「商業音楽/ポップス」の現場での、クラシック畑から来た“中途半端な”奏者に対する生生しい声です。周りの人との話で出る共通の認識を紹介します。これらは筆者自身の苦い経験でもあります。
1、リズム感が甘い
ポピュラー音楽ならではのエッヂの効いたリズム・ノリ・グルーブを表現できない。そもそもリズムとグルーヴの違いが分かっていない。ポピュラー畑の人こそ感覚でやっていることなので、実体を事細かに説明できる人は少ないと思いますが、まず「クラシックにないビート感」に疎い人が多いです。rit./リタルダンドの時も、雰囲気で遅くするだけでその中にビートがないと、ヌルヌルに聴こえたりテンポの歪みが生じやすくなり、結果“ノれない”演奏になります。
2、インテンポで演奏できない
これも個人のスキルによりますが、レコーディングはもちろん、生演奏においてもクリック音に合わせて演奏することが多いポップス現場で、一定のテンポを維持することができないと、役立たずとなります。クラシックの楽曲の場合、テンポの伸縮が頻繁に行われるために、その感覚に慣れ過ぎていると難しく感じるところです。基礎練習においてはメトロノームを用意して一定に保つ練習をしますが、ある程度カタチになったあとは豊かなテンポ表現のために使わなくなりますよね。それを常に求められることがポップスでは多くなります。
3、コード演奏ができない
『楽譜を用意しないと演奏できない?…ふざけんなよ!』…って言われます。この点においてエレクトーンをやっていた人は強いですね。
4、アドリブができない
楽譜を用意しないと演奏できない=楽譜を用意しなければならない、ということは手間とコストがかさみます。他に自発的にできる人がいれば当然そちらに仕事が回ります。
5、1曲仕上げるのに時間がかかる
当事者は分かると思いますが音大生(特にピアノ科)は半期で1曲仕上げますよね。当然難易度の問題はありますが、同時にたくさんの曲を消化したり、すぐに仕上げることに慣れてない人も多いでしょう。『まだ仕上がってないだと?…モタモタすんなよ!』…って言われます。
6、ブライドだけ高い
こんなにできないことだらけなくせに、やれ環境がどうだーとか、調子がどうだーとか言い出す。もう帰れよ!っ…てことです。
そんなこんなの理由で仕事の機会が減っているという側面があるでしょう、というお話でした。
結局両方が必要になる
実際ポップス楽曲のアレンジで生音の楽器を使いたくなるのは、ポピュラーの曲の中でもクラシカル寄りな曲の時なので、そういう曲の時にはリズム感は特段問題になりません。ただ楽譜がないと演奏できないのはホントに結構…役立たずになります。
ポピュラーに浸ってるクラシック人間は大学教授からは敬遠されますが、実際これらの能力があれば「有能な奏者」なのです。結局のところ、総合的に能力を鍛えて色んな仕事の可能性を得るなら、両フィールドに必要なものを身に付けると良いんです。
認識として、“違うフィールドの話”だと思っていると両者に共通する構造が見えてきません。『ここは“0.何秒”タイトにアクセント取った方が良いな、そこが違いだな』などと、“ニュアンスが違うだけでやることは同じ”と思って普段から取り組んでいると、応用が効くようになってきます。




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